松岡正剛の千夜千冊・1572夜
ジョン・ブロックマン編『2000年間で最大の発明は何か』
URL> https://1000ya.isis.ne.jp/1572.html
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編者のブロックマンは異能のエディティング・プロデューサーである。90年代に「第三の文化」プロジェクトを推進したのち21世紀を迎える直前、「エッジ」というサイトを開いて、本書にまとめたような問いを各界の第一人者にメールでぶつけた。
マレー・ゲルマン、ジャレド・ダイアモンド(1361夜)、フリーマン・ダイソン、ロジャー・シャンク(535夜)、リチャード・ドーキンス(1069夜)、ニコラス・ハンフリー、ダニエル・デネット(969夜)、レオン・レーダーマン、マーヴィン・ミンスキー(452夜)、スティーブン・ピンカーらが応えた。みんな、一家言を呈した。おハコもあるし、それなりに深い指摘もあるし、皮肉っぽいものもある。
日本ではなかなかこういう試みが成立しない。ひとつにはジョン・ブロックマンのような、またTEDを立ち上げたリチャード・ワーマン(1296夜)のようなエディティング・プロデューサーがいないこと、ひとつには知識人どうしが多少のユーモアをもって互いをリスペクトしあっていないこと、ひとつには仮にこうした企画が成立しても回答者たちがつまらないことしか言わないこと、理由はけっこうある。一言でいえば「編集文化」を愉しんでいないのである。
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ジョン・ブロックマン編『2000年間で最大の発明は何か』
URL> https://1000ya.isis.ne.jp/1572.html
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編者のブロックマンは異能のエディティング・プロデューサーである。90年代に「第三の文化」プロジェクトを推進したのち21世紀を迎える直前、「エッジ」というサイトを開いて、本書にまとめたような問いを各界の第一人者にメールでぶつけた。
マレー・ゲルマン、ジャレド・ダイアモンド(1361夜)、フリーマン・ダイソン、ロジャー・シャンク(535夜)、リチャード・ドーキンス(1069夜)、ニコラス・ハンフリー、ダニエル・デネット(969夜)、レオン・レーダーマン、マーヴィン・ミンスキー(452夜)、スティーブン・ピンカーらが応えた。みんな、一家言を呈した。おハコもあるし、それなりに深い指摘もあるし、皮肉っぽいものもある。
日本ではなかなかこういう試みが成立しない。ひとつにはジョン・ブロックマンのような、またTEDを立ち上げたリチャード・ワーマン(1296夜)のようなエディティング・プロデューサーがいないこと、ひとつには知識人どうしが多少のユーモアをもって互いをリスペクトしあっていないこと、ひとつには仮にこうした企画が成立しても回答者たちがつまらないことしか言わないこと、理由はけっこうある。一言でいえば「編集文化」を愉しんでいないのである。
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【製紙技術】クリフォード・ピックオーバー
蔡倫のごくごく小さな発明が世界を席巻した。ぼくは紙がなければ生きてはいけなかった。今後も、そうだ。たとえ本がデジタルになったとしても、紙がなければ筆で書は書けないし、障子はつくれない。和紙の、世界文化遺産登録、おめでとう。提案者はIBMワトソン研究所の研究員で、『コンピュータ・カオス・フラクタル』(白揚社)や『コンピュータ・ワンダーランド』(白揚社)の著者。
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【消しゴム】ダグラス・ラシュコフ
これはいい。ナンシー関のためにも、うれしい一番だ(笑)。ただしラシュコフは消しゴムだけでなく、文書の修正液、コンピュータのデリートキー、合衆国憲法の修正箇条など、われわれの「誤りを訂正できるしくみ」全般をとりあげている。もっといい。消しゴム万歳だ。ラシュコフはニューヨーク大学で仮想文化を講じて、『ブレイク・ウィルスが来た!!』(ジャストシステム)、『癒すための覚醒法』(青弓社)、『サイベリア:デジタル・アンダーグラウンドの現在形』(アスキー)などを書いた。
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