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松岡正剛の千夜千冊・1573夜

松岡正剛の千夜千冊・1573夜
今泉準一『其角と芭蕉と』
URL> https://1000ya.isis.ne.jp/1573.html

うすら氷(ひ)やわづかに咲ける芹(せり)の花
 其角はやはり特別である。蕉門十哲のなかで一番の破格だ。早くから絵師の英一蝶(はなぶさ・いっちょう)らと吉原に遊び、好きに暮らし、好きに詠んだ。蕉門仲間の俳諧集などはちゃんと編集するが、自分の句集は生前に一冊ものこさなかった。
 気っ風がいいのだろうし、面倒なことが嫌いだったのだろう。そういうところがときに芭蕉(991夜)の門人からは疎まれた。芭蕉はそういう其角をほっておく。実はけっこう有為(うい)の奴だとおもしろがったにちがいない。