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松岡正剛の千夜千冊・1604夜

松岡正剛の千夜千冊・1604夜
ケル・ファーティック+デビッド・トンプソン
『勝手に選別される世界』
URL> https://1000ya.isis.ne.jp/1604.html

 フランスではリセ(高等学校)の最終学年の哲学教育と、バカロレア(大学入学資格試験)の哲学試験が重視されてきた。文系・理系を問わず高校生は哲学を必修しなければならず、そこでは構成的自由の力が試される。

2012年のお題は次のようなものだった。
 (1)Que gagne-t-on en travaollant? (働くことによって何
    を得るのか)
 (2)Toute croyance est-elle contrire à la eaison?(あらゆ
    る信仰は理性に対立するか)
 (3)スピノザの『神学・政治論』の一説を説明せよ
 とうてい日本の高校生には太刀打ちできないだろう。神に酔った哲人バルーフ・スピノザ(842夜)を知っていたかどうかも気になるが、そこに一喜一憂すべきなのではない。このバカロレアによって、「いったい何を評価するのか」という根本の判断力や価値観と交われるということが大きい。