松岡正剛の千夜千冊・89夜
吉本隆明
『芸術的抵抗と挫折』
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そこで学生はヨシモトの論理の手順というよりも、ヨシモトが何をどこで取り上げているのか、たとえばドストエフスキー ( 950夜 ) の『カラマーゾフの兄弟』の「大審問官」をどこで取り上げたのか、それだけを話題にできるようになる。
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もっとも、最後に収録されている「情勢論」、いわゆる文芸時評のたぐいだとおもうが、これはたのしんだ。当時ちょうど読んでいた安部公房 ( 534夜 ) をこっぴどくやっつけたりしているのだが、その批判の刃は誰に対しても似たようなケチのつけかたで、これはのらりくらりというよりもヨシモト印の焼印を押していく文章なのである。
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