松岡正剛の千夜千冊・167夜
エドウィン・ハッブル
『銀河の世界』
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ごくかいつまんで説明することにするが、まずはアインシュタインが1917年に提唱した一般相対性理論を宇宙像にあてはめようとしたところから、いろいろな仮説があらわれた。
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そこへオランダのド・ジッターが膨張宇宙の解がありうることを発表、実は「運動する宇宙」のほうがほんとうの姿ではないかと言い出した。これが話題をさらった。有名な「ド・ジッターの宇宙模型」である(稲垣足穂 ( 879夜 ) の『遠方では時計が遅れる』や『僕のユリーカ』はこの宇宙模型へのキラキラとした憧れで綴られている)。
ところが、ド・ジッターの宇宙模型は物質が何もない“真空の宇宙”であること ( 687夜 ) がわかってきて、これは単なる数学上の解にすぎないと言われはじめた。
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こうしてハッブルの発見は、宇宙の一角は実は星が1000億個クラスで集まった銀河でできていること ( 1001夜 ) 、宇宙にはそのような銀河がいくつもあるはずだということを告げた。
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