松岡正剛の千夜千冊・657夜
ソポクレス
『オイディプス王』
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傑作だ。こんなによくできた戯曲 ( 48夜 ) はほかにない。
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べつだんここでフロイトの功罪 ( 302夜 ) を言挙げするつもりはないが、こと『オイディプス王』に関してはフロイトを忘れて堪能することが読書の王道だ。また、そうしないと舞台を見るときの醍醐味がない。
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紀元前480年のサラミスの海戦が勝利となったときは、自ら少年合唱団(コロス)を率いてアテネの街を熱狂に導いた。のちには芝居を自分でも演じた。そうとう人望のあった人物だった。将軍に推挙されもしたし、また自宅を医神アスクレピオスの仮神殿にして、医学の普及にも努めた。
そういうソポクレスが書いた『オイディプス王』なのである。レオナルド・ダ・ヴィンチ ( 25夜 ) が戯曲を書いたとおもったほうがわかりやすいほどなのだ。
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ラジオドラマ「オイディプス王」> https://www.youtube.com/embed/5eCeHx32ni8