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松岡正剛の千夜千冊・731夜

松岡正剛の千夜千冊・731夜
白隠
『夜船閑話』
 このころからの白隠の弟子への指導はまことに厳格、放埒、大胆きわまりない。朝は耐え、昼は飢え、夜は凍えることをもって修行とし、いつでも毒舌と拳骨と罵倒を浴びせた ( 550夜 ) 。とても白隠の書画の柔らかさからは想像もつかない指南であるが、それが正受老人から教えられた白隠の確信だった。
 一般には『夜船閑話』は禅の健康法を説いている名著といわれ、古来、気海丹田法のバイブルのように扱われてきた。そういう面もある。いや、ほとんどそのような体裁の本に見えるのだが、読んでいくうちにそんなことを超えた心境になっていく。実用書としては道教の内観治癒を説き、心用書としては白隠の内観哲学を説く。そう、読めるのである。
 そしてもうひとつ感心したことがある。白隠こそは江戸中期において、最もよくタオイズム ( 726夜 ) に精通していたのではなかったかということだ。
 すでにぼくは岡倉天心の『茶の本』 ( 75夜 ) 初読においてタオイズムにめざめ、ついで内藤湖南と幸田露伴 ( 247夜 ) を知ってまたまたタオイズムに出会い、さらに富岡鉄斎の水墨にタオイズムの極上を知った者であるのだが、…

























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