松岡正剛の千夜千冊・775夜
大野晋・浜西正人『角川類語新辞典』
URL> https://1000ya.isis.ne.jp/0775.html
〜
類語は英語ではシノニム(synonym)という。このシノニムを徹底的に集めたものがシソーラス(thesaurus)である。
言葉をつかう仕事では、つねに「意味を調べる作業」と「意味を生み出す作業」とが平行して交互に試されている。「意味を調べる作業」には国語辞典や漢和字典が活躍するが、「意味を生み出す作業」にはシソーラスが必要である。日本のシソーラスには歳時記というとんでもなく優秀なものもある。
〜
たとえば「しゃあしゃあとした態度」という言葉が浮かんだとしよう。何かの文章を書いていて、「その学者の態度はしゃあしゃあとしていた」と書いてみて、どうもこれではもうひとつぴったりこないと思ったわけである。
そこで、本辞典の巻末索引で「しゃあしゃあ」を引く。528ページにあった。開いてみると、そこは小項目「平静」の箇所で、中項目は「身振り」になっている。
〜
こうしてあらかたの類語連想ゲームがおわる。結局、ぼくは次の類語が気にいって、それを使うことにした。それは「利いた風」という言葉だった。
そしてこんな文章がうまれていったのである。「その経済学者は横柄というより利いたふうなことばかりを言う奴で、やけに冷静なくせして、他人にいつもちょこざいな印象を与える男だった」というふうに。
この男、その名を.......という実在の人物である。どうですか、『角川類語新辞典』、.......の番組よりはおもしろい!
〜
大野晋・浜西正人『角川類語新辞典』
URL> https://1000ya.isis.ne.jp/0775.html
〜
類語は英語ではシノニム(synonym)という。このシノニムを徹底的に集めたものがシソーラス(thesaurus)である。
言葉をつかう仕事では、つねに「意味を調べる作業」と「意味を生み出す作業」とが平行して交互に試されている。「意味を調べる作業」には国語辞典や漢和字典が活躍するが、「意味を生み出す作業」にはシソーラスが必要である。日本のシソーラスには歳時記というとんでもなく優秀なものもある。
〜
たとえば「しゃあしゃあとした態度」という言葉が浮かんだとしよう。何かの文章を書いていて、「その学者の態度はしゃあしゃあとしていた」と書いてみて、どうもこれではもうひとつぴったりこないと思ったわけである。
そこで、本辞典の巻末索引で「しゃあしゃあ」を引く。528ページにあった。開いてみると、そこは小項目「平静」の箇所で、中項目は「身振り」になっている。
〜
こうしてあらかたの類語連想ゲームがおわる。結局、ぼくは次の類語が気にいって、それを使うことにした。それは「利いた風」という言葉だった。
そしてこんな文章がうまれていったのである。「その経済学者は横柄というより利いたふうなことばかりを言う奴で、やけに冷静なくせして、他人にいつもちょこざいな印象を与える男だった」というふうに。
この男、その名を.......という実在の人物である。どうですか、『角川類語新辞典』、.......の番組よりはおもしろい!
〜