松岡正剛の千夜千冊・930夜
ホランド、ホリオーク、ニスベット、サガード
『インダクション』
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インダクションとは帰納のことである。この帰納には、不確実な状況において知識を拡張する推論のプロセスのすべてが含まれている可能性がある。少なくとも、本書の著者たちはそのように考えた。
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ということで、本書のテーマは、帰納のためのシステムはどのようにしてメタファーやアナロジーを使って、一つの領域から他の領域への情報・知識・手続きを転移できるのか ( 911夜 ) を問う研究だということになる。
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このルールをダイナミックに機能させ、しかるべき目標を達するには、ルールが進行しているあいだに、「期待の集合」を次々に制約させつつ、そこに「侵入していくクサビ」(entering wedge)を打ちこめるようにしておく必要がある。
これは、可能な情報(知識)特性をランダムに抽出して、それをルール構成の基礎として特性的な符号にするのでなく、最初から“焦点化サンプリング”ができるような符号化、すなわち「関係をつかむ単位」 ( 504夜 ) が作動するような符号化をするということにあたる。ここではクサビが符号そのものになっている。「関係をつかむ単位」そのものが符号なのである。
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