松岡正剛の千夜千冊・933夜
手話コミュニケーション研究会
『新・手話辞典』
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すぐに実感したことは、口頭をもって喋ること、その口頭の言葉でしか内容を認識できないことも、これはあきらかに障害のひとつであるということだった。
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本書は第775夜にとりあげた『角川類語新辞典』の収録6万語のうち、約3万語を選んで手話図解と対応させている。
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この手話辞典では、そうした手話のうち主に7種の手話方式を組み合わせて便宜をはかっている。
〈単純手話〉は「山」「先生」などの単一の意味を最小単位の手話であらわす。〈漢字手話〉は指文字が仮名に対応するように、「田」「時」のような漢字1字を示すための手話で、音読みと訓読みも同じ手話になる。〈指文字結合手話〉はたとえば花の「すみれ」や「チューリップ」を示すとき、左手で「花」を形づくり、右手で「すみれ」の指文字「ス」をあらわすような手話をさす。これが「アニメーション」のような言葉になると、「ア・ニ・メ」のように3つの指文字が必要になる。
これは〈指文字手話〉と呼ばれる。
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そうしたなか、2000年に発表された木村晴美と市田泰弘の「ろう文化宣言」は、手話は障害者の言語ではなく、日本手話という言語を扱う言語的少数者なのだという見方を提起した。
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