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松岡正剛の千夜千冊・936夜

松岡正剛の千夜千冊・936夜
ティモシー・リアリー
『神経政治学』
 それでも本書の2つのタイトルはとんでもないもので、「地球政治の黄昏」と「地球外政治の夜明け」というものだ。いったいこの荒唐無稽なスケールは何なのか。ふつうなら、大半の読者はここでたじろぐことだろう。けれども、第1部「地球政治の黄昏」はアメリカの病根 ( 738夜 ) とティム自身の60年代的先駆性を振り返った文章で、…
 最初に端的にリアリーの考え方の出発点を言っておくと、リアリーは「自我」や「現実社会」というものは神経のシナプス連結の束がつくりだした一種のフィクションであって、表層的な交感性パラノイアの産物にすぎない ( 916夜 ) とみなしていた。
さすがのリアリーも、ユング ( 830夜 ) の「集合的無意識」やスタニスラフ・グロフの「系統発生的無意識」がこれに近いのではないかという憶測をするにとどめている。