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松岡正剛の千夜千冊・983夜

松岡正剛の千夜千冊・983夜
幸田露伴
『連環記』
いよいよ露伴ですね。待ってました。第247夜では露伴の面影だけでしたから、ついに本物登場。
50代以降の露伴なんて、とても尋常じゃつきあえない。それは幸田文(第44夜)さんのものを読めば、すぐわかる。
あれほどに漢籍に通じていたのは、富岡鉄斎と幸田露伴くらいなものでしょう。その二人とも、目がおかしかったことに、ぼくは注目してるんだけどね。
杉浦康平がひどい乱視であることは、杉浦さんの発想の原点になっているしね。だってお月さんが7つも9つも見えるんだものね。そうすると、かえって精緻なデザインになる。
唐木順三さん(第85夜)がおもしろいことを言っていて、明治20年代生まれまでの日本人は本気の教養があったけれど、それ以降の世代はむりやり修養を必要としたというんだね。つまり、おベンキョーしないと何もわからなくなった。浄瑠璃 ( 826夜 ) も常磐津も女(むすめ)義太夫 ( 669夜 ) も、ロダンもセザンヌも進化論 ( 636夜 ) も。
文化が水や風で見えているのと、外まわりでベンキョーするのでは、だいぶん違う。漱石が漢詩を書けたのは、そういう水がまだ近所にも流れていたからです。











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【青空文庫】幸田露伴 URL> http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person51.html