松岡正剛の千夜千冊・1614夜
田中美穂『苔とあるく』
URL> https://1000ya.isis.ne.jp/1614.html
〜
出久根本を一度読んだらどうしても古本屋をやりたくなるようなエッセイだ。きっと女性たちには『本があって猫がいる』(晶文社)や『半分コ』(三月書房)など、とてもじっとしていられまい。
〜
『苔ボトル』(電波社)なんていう卓上に苔を飾るための案内書などなどが、書店に並んだ。苔もついにアイドルになったのである。
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こうしたプロセスの中で、いったい蘚苔類はどうやって栄養をとっているのかが気になるが、どうやら水以外の養分には無頓着なのだ。田中美穂は「霞を食っている」と言いあらわしていた。なるほど、それならコケ仙人だ。たしかに根がないところも、霞を食うところも仙人じみている。
〜
キマラーの「苔学」はたいへん興味深い。なかでも二つの観察態度が貫徹するところがとびぬけている。ひとつは「苔は看るのではなく聴くものだ」という態度、もうひとつは「岩から入って苔に至る」という視点だ。…
しかも文章がやたらにうまい。『コケの自然誌』は19章になっているけれど、いずれもが珠玉の短編小説のようなノンフィクションなのだ。
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田中美穂『苔とあるく』
URL> https://1000ya.isis.ne.jp/1614.html
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出久根本を一度読んだらどうしても古本屋をやりたくなるようなエッセイだ。きっと女性たちには『本があって猫がいる』(晶文社)や『半分コ』(三月書房)など、とてもじっとしていられまい。
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『苔ボトル』(電波社)なんていう卓上に苔を飾るための案内書などなどが、書店に並んだ。苔もついにアイドルになったのである。
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こうしたプロセスの中で、いったい蘚苔類はどうやって栄養をとっているのかが気になるが、どうやら水以外の養分には無頓着なのだ。田中美穂は「霞を食っている」と言いあらわしていた。なるほど、それならコケ仙人だ。たしかに根がないところも、霞を食うところも仙人じみている。
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キマラーの「苔学」はたいへん興味深い。なかでも二つの観察態度が貫徹するところがとびぬけている。ひとつは「苔は看るのではなく聴くものだ」という態度、もうひとつは「岩から入って苔に至る」という視点だ。…
しかも文章がやたらにうまい。『コケの自然誌』は19章になっているけれど、いずれもが珠玉の短編小説のようなノンフィクションなのだ。
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