松岡正剛の千夜千冊・1641夜
宇沢弘文
『人間の経済』
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宇沢の考え方はわかりやすいともわかりにくいとも言える。その特色は7冊の岩波新書に如実にあらわれている。順に、①『自動車の社会的費用』、②『近代経済学の再検討』、③『経済学の考え方』、④『成田とは何か』、⑤『地球温暖化を考える』、⑥『日本の教育を考える』、⑦『社会的共通資本』というふうになる。
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宇沢が後期に熟慮するようになる社会的共通資本(Social Common Capital)は、広い意味をもっていた。環境、地域、農業、医療、教育、子育てなどをソーシャル・コモンキャピタルとして重視して、新しい「人間のための経済」の基本をつくること、それが社会的共通資本を強調したい理由だった。
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宇沢にとっての大学は端的にいうのなら、“Idle Curiosity”(好奇心)と“Instinct Workmanship”(職人気質)が育まれるべきところなのである。ソースティン・ウェブレンが掲げた看板だ。しかるに日本の大学は、これをすっかりおじゃんにしてしまうような共通一時試験やセンター試験をしてしまった。宇沢はセンター試験の問題はことごとく「腐っている」と指摘する。
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