松岡正剛の千夜千冊・1680夜
吉福伸逸
『世界の中にありながら
世界に属さない』
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タイトルの『世界の中にありながら、世界に属さない』はスーフィーの有名な言葉だ。
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不安と挫折と破綻こそが「人に成る」ための最大の契機だと、君はアメリカから帰ってきた30歳の頃に喝破していたね。
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ところで、ぼくが最後に伸ちゃんと会ったのは『流体感覚』の対談のときだった。そのときはアルタード・ステーツ(alterd state of consciousness)をめぐる雑談をした。
アルタード・ステーツはチャールズ・タートが提案した用語だが、最初のころはトランスに入るときの意識状態をさしていた。その後、脳波研究がすすんで、覚醒時のベータ波が出るような意識状態とは異なるピークモメントを示すことがわかってきて、ジョン・C・リリー(207夜)やティモシー・リアリー(936夜)やババ・ラム・ダスがその研究にとりくんだ。グロフのトランスパーソナル心理学もアルタード・ステーツの掘り下げだ。最近は「ゾーン」と呼ばれる意識状態に近いとも言われている。
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