松岡正剛の千夜千冊・1695夜
ガイ・ドイッチャー
『言語が違えば、
世界も違って見えるわけ』
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ユダヤ人はこう言う。「この世界には使うに値する言葉が4つある。詩歌のためのギリシア語 (0999夜) 、戦いのためのラテン語、悲嘆のためのシリア語、日常会話のためのヘブライ語 (0946夜) だ」。『タルムード』に書いてある。
神聖ローマ皇帝カール5世は、こう言った。「神にはスペイン語、女にはイタリア語、男にはフランス語、そして馬にはドイツ語だ」。なんとも乱暴で横柄な言い草だが、スペイン王にしてオーストリア公で、イタリア=ドイツ領土に君臨した神聖ローマ皇帝 (1590夜) ならではのジョークだ。
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言葉には、気候風土や「なり」「ふり」にもとづく違いや、伝達意志力がしからしめる違い (0077夜) がある。
ずっと前、タモリを伴ってイタリア大使公邸でのパーティに出たとき、タモリにイタリア映画の会話の真似や、中国人・イタリア人・ドイツ人・韓国人のマージャン議論のパロディを即興で演じてもらったことがある。そこにはレオ・レオーニ(179夜)や谷川俊太郎なども招かれていたのだが、イタリア大使のビアンケリもイタリア出身のレオーニも、タモリのいんちきイタリア語がそっくりだと言って悦んで大笑いしていた。
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タモリの7か国語バスガイド https://www.youtube.com/embed/m_lR-FIC_Wk