松岡正剛の千夜千冊・1719夜
アン・ホランダー
『性とスーツ
- 現代衣服が形づくられるまで -
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1818年に描かれたもので、険しい丘のてっぺんに丈の長いロマンチックなダークスーツを着た紳士が堂々と立って、画面の向こう側の霧が漂う山と海を悠然と見下ろしているという構図である。だから、この絵の中の紳士は後ろ向きなのである。
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ジョン・エヴァレット・ミレーが描いた『ジョン・ラスキンの肖像』でも、山岳の中を流れる清流の岩場にロマンチック・スーツのラスキン(1045夜)が立っている。
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本書にも詳しく紹介されているが、腰丈の上着が登場したのはフランス革命のサン・キュロット(半ズボン)以降のことで、それまではジャストコロ(just colonial)のようなコートや農民服のフロックコートめいたコートをそのまま羽織っていた。それがしだいに短めに改良されたのである。
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1994年、ダーバンの広告を飾ったセイゴオ
ダーバンの広告部長がセイゴオの熱烈なファンだったために実現した。当初はバイクから降りたタキシード姿のシーンを撮るはずだったが、休憩中の自然体の表情が気に入られ掲載された。そのため革手袋とヘルメットがアクセサリーとして残った。日本経済新聞社の全面広告シリーズで、セイゴオの前は原田芳雄がモデルになった。
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