松岡正剛の千夜千冊・96夜
木村泰賢
『印度六派哲学』
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インド六派哲学とは、大乗仏教の勃興に対抗してヒンドゥ哲学派が世界と認識の根源をめぐって挑んでいった成果のすべてのこと(0820夜)をいう。
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サンスクリットの文法は紀元前5世紀のあたりに活躍したパーニニによってほぼ提起され、紀元前2世紀のパタンジャリによってあらかた確立された。パーニニはおよそ4000にのぼる記憶用の短句の組み合わせの方法から、初期の文法を規定した。この記憶用の短句のことを「スートラ」という。
詳しいことは省くけれど、こうした記憶用短句がつくりあげた文法は、文法そのものが思索の内実だったのである。そこには形式と内容の、フォーマットとコンテツンツの区分はない。もうすこし正確にいえば、フォーマットとコンテツンツが重畳しながら連動して記憶が蘇り、その再生が可能になった。
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