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松岡正剛の千夜千冊・141夜

松岡正剛の千夜千冊・141夜
河合隼雄
『中空構造日本の深層』
 このタイトルを見たとき、この手の日本論に関心がある者は、誰もがロラン・バルト ( 714夜 ) の『表徴の帝国』を思い出した。
 ごくかんたんにいうと、河合が注目したことは、『古事記』の冒頭に登場する三神タカミムスビ・アメノミナカヌシ・カミムスビのアメノミナカヌシと、イザナギとイザナミが生んだ三貴神アマテラス・ツクヨミ・スサノオのうちのツクヨミとが、神話の中でほとんど無為の神としてしか扱われていないということである。
そればかりか、そもそも日本の神々は常住すらしていない。どこからかやってきて、どこかへ帰っていく訪問神なのである。折口信夫 ( 143夜 ) が客神とかマレビトと呼んだほどだった。
 ただし、日本は中空構造をもっているとともに実は多中心構造でもあるとも考えるべきである。日本が一つの中心をもったことはない。都が頻繁に遷都されてきたように、中心はよく動く。中心はうろつきまわる。










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