スキップしてメイン コンテンツに移動

松岡正剛の千夜千冊・1405夜

松岡正剛の千夜千冊・1405夜
尾池和夫
『新版 活動期に入った地震列島』
東日本・太平洋巨大地震。
マグニチュード9・0。途方もない大津波。
 異才イアン・ハッキングの『偶然を飼いならす』(1334夜)の紹介のときに書いておいたように、世の中が確率統計で「危険の度合いを割りふる」ようになったとたん、人間社会は何もかもを「正常値」(normal)と「社会病理」(pathological)に分けたがるようになるか、そうでなければ「成長」と「停滞」、あるいは「勝ち組」と「負け組」に分けて、かえって自分たちの首を締めるようになったのだ。
 また、そんなことをしているうちに、木田元の『偶然性と運命』(1335夜)であらかた書いたように、ついに本来の「自然と人間と社会のあいだ」に君臨していただろう「偶然」をなんであれ排除できるはずだという傲慢に達してしまったのだった。
 と、ここまで書いてきたとろで、赤坂の事務所が大揺れした。「松岡さん、外に出てください」という声が聞こえる。ラジオは静岡県東部で震度6強の地震が発生したのだと言っている。いま、3月15日夜の10時35分。