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Macrobiotic Magazine「むすび」No.722

2019/11 Macrobiotic Magazine「むすび」No.722 今月のことば◎「本当に安心安全な野菜はこだわりの種から」石井吉彦  特集◎微生物とともに生きる ~ 『畑も人も発酵だらけに —吉田俊道・NPO法人 大地といのちの会理事長—』 ・「私たちは生を食べていきているが、ほとんどの微生物は死を食べて生きている」 ・あまりいいイメージのないウジ虫ですが、糖尿病で壊死した組織をウジ虫に食べさせるマゴット療法という治療法があります。  ウジ虫は壊死組織をきれいに食べ尽くすだけでなく、表面に膜をつくって、健康な組織を感染から守ります。人間の手では難しいデリケートな手術を、小さな虫たちが完璧にやってのけるのです。 『有機へと転換する世界—吉田太郎・NAGANO農と食の会会員—』 ・今年5月、山田正彦元農相らが共同代表を務める「デトックス・プロジェクト・ジャパン」が、国会議員23人を含む28人の毛髪を分析した結果、実に7割にあたる19人から、グリホサートかグリホサートが分解してできる物質が検出されました。 ・フランスでは有機農業が農政の主流になりつつありますが、フランスだけではありません。コペンハーゲンで… インドでは… 。 ~ ■しんちゃんのよろず相談所・第47回 山村慎一郎 『ビューティーアップ講座13』 ~ 太りたくて腹八分目 逆転の発想でふっくらと 〜 腸内細菌のバクテロイデスが短鎖脂肪酸を作り肥満予防 〜 短鎖脂肪酸を増やす食材  玄米、粟、稗、黍、小豆、えのきやシメジ、キクラゲなどのキノコ類、ネバネバして糸を引くモズクやメカブなどの海藻類、アロエ、蕪、玉葱(便を和らげる)、小松菜、牛蒡、タケノコ、オクラ、長芋、里芋、キャベツ、白菜、高菜、ゼンマイ、フキ(フキノトウはさらに排便の力が強い)、ほうれん草、アンズ、梅、かぼす、皮付きリンゴ、とうもろこしなど。 〜 水はけを良くする食材  丸麦、ハト麦、小豆、黒豆、エンドウ豆、キュウリ、冬瓜、大根、芹、白菜、ナス、春雨、干瓢など。 〜 ■マクロビオティックONEテーマ vol.47 岡部賢二 「がんを作る食事③ 冷えとがんの関係」 ~ 加熱した動物性食品と白砂糖のセットに用心 ~ 身体の冷えはお腹で作られる  人体の免疫の中心は、腸管免疫です。小腸や大腸には免疫細胞が集まっていて、必要に応じて、体の各機関...

松岡正剛の千夜千冊・1687夜

松岡正剛の千夜千冊・1687夜 中島春紫 『日本の伝統 発酵の科学  - 微生物が生み出す「旨さ」の秘密 -  』 URL> https://1000ya.isis.ne.jp/1687.html 〜  日本の国花はサクラ、国鳥はキジ、国魚は錦鯉、国蝶はオオムラサキ、意外かもしれないが、国草は大麻である。古来、神々の幣(みてぐら)の印として貴重視されてきた。日本の大麻は幻覚成分のTHCが少なく、吸引はされなかった。  実はコッキン、国菌もある。国の菌だ。何が国菌だか、おわかりか。麹菌(こうじきん)なのだ。2006年に認定された。麹菌は日本を代表するカビなのである。醤油・味噌・日本酒(清酒)・味醂(みりん)は麹菌でつくる。 〜  発酵(fermentation)は微生物のはたらきによっている。科学的には「微生物が有機物を嫌気的に分解してエネルギーを得るプロセス」が発酵である。有機物とは炭素を含む化合物のこと、嫌気的とは酸素を使わないことをいう。( 1615夜 ) つまりは、酸素を使わずに炭水化物などの有機物を分解してエネルギーを生み出しているプロセスの全体が「発酵」だ。酸素を使って有機物を分解するほうは「呼吸」という。  炭水化物やタンパク質などの有機物を酸化するとエネルギーを得ることができる。最もよく知られている酸化反応は燃焼( 859夜 )である。 〜  こうした発酵を促進する微生物には、大きく2種類がある。好気性菌と嫌気性菌だ。酸素を好む好気性菌には食酢をつくる酢酸菌、味噌・醤油の醸造する麹菌、納豆をつくる納豆菌などが、酸化が苦手な嫌気性菌には乳酸発酵をする乳酸菌、アルコール発酵をおこす酵母などがある。 〜  微生物は発酵もおこすが、腐敗もおこす。発酵と腐敗という二つの現象は紙一重なのだ。実際にもフランスのリヴァロなどのチーズや近江の鮒鮨(ふなずし)などは、腐っているような匂いがする。ところが、食べてみるとおいしい。「発酵と腐敗を区別するのは、科学( 476夜 )ではなく文化である」という言葉は、発酵科学の第一人者である小泉武夫の至言だった。  腐敗は雑菌(腐敗菌)の繁殖( 1562夜 )による。だから食品が腐らないようにするには、雑菌が繁殖しないようにすればいい。繁...

松岡正剛の千夜千冊・1623夜

松岡正剛の千夜千冊・1623夜 別府輝彦 『見えない巨人―微生物』 URL> https://1000ya.isis.ne.jp/1623.html 〜  窒素のほうは炭素とは逆に、地殻の中での無機窒素化合物になっている量は少なく、大部分が大気中で分子状の窒素のままにある。その含量は78パーセントに及ぶ。  この分子状窒素は化学的に不活性なので、それを生物たちが利用するには硝酸塩やアンモニアに変換する必要があるのだが、変換プロセスは容易にはおこらない。そこで活躍するのが、このところぼくがお気にいりのニトロゲナーゼなのである( 1622夜 参照)。ニトロゲナーゼという酵素をもつ微生物がアンモニア還元をもたらしていく。  微生物によって大気からアンモニアに固定された窒素を大気に戻すにも、微生物の関与が必要だ。まずアンモニアが硝化細菌によって硝酸塩に酸化され、この硝酸が別の細菌によってもう一度還元されるとき、アンモニアまで戻らずに途中で分子状の窒素となって大気に飛散するというプロセスをとる。  このように地球の窒素循環も、ほとんど微生物に頼りきっているわけである  ところが20世紀になってハーバー・ボッシュ法という空中窒素固定の技術が工業化されると、合成アンモニアが大量に登場することになった。  合成アンモニアは初めは戦争用の火薬の原料になる硝酸の製造に使われていたのだが、世紀末に向かってはその大半が窒素肥料に化けて、全部地球の土地という土地に撒かれていった。  窒素肥料が合成できるようになったのは、地球史的にも文明史的にもきわめて大きな変動をもたらした。これで地球上の微生物による窒素固定量の半分に迫る窒素が出回り、これが脱窒素菌の能力では還元できないほどになったのである。 〜  生物はエネルギーを得るためには代謝活動をする。代謝なき生命はない。  その基本的な代謝には「光合成、呼吸、発酵」の3つの方法がある。このうち呼吸と発酵は有機物を酸化させ、そのときに遊離されるエネルギーでATPを合成する。  この呼吸と発酵の酸化プロセスには副産物の水素が生じる。排出した水素を有機物にわたせば発酵になり、酸素にわたせば好気呼吸になり、無機物にわたせば嫌気呼吸になる。原理は呼吸も発酵も同じなのである。  ではど...

松岡正剛の千夜千冊・1622夜

松岡正剛の千夜千冊・1622夜 ポール・G・フォーコウスキー 『微生物が地球をつくった  - 生命40億年史の主人公 -  』 URL> https://1000ya.isis.ne.jp/1622.html 〜  あるとき、植物プランクトンを感知するための特殊な蛍光光度計が奇妙な信号をキャッチした。光度計は酸素がない深さを調査していたので、その信号を送った生物は海の上のほうにいる植物プランクトンではなかった。信号はどこから届いたのだろうか。どうも海底に近い。いろいろ調査してみて、フォーコウスキーはこの生物が「地球に酸素ができる前にいたであろう生物」と同じものだろうと推理した。緑色硫黄細菌だったのである。  緑色硫黄細菌は嫌気性の細菌(bacteria)である。ということはシアノバクテリア(藍藻)のようには酸素を発生しない光合成をする細菌で、もっぱら海中に生息する。  ふつう細菌は光合成をしない。ところが緑色硫黄細菌や紅色硫黄細菌は硫化水素などの硫黄イオンをつかって光合成をする。ただし酸素があると死ぬ。 〜  1カ月ほどして黒海からイスタンブールに戻ったフォーコウスキーは、街のそこかしこで売っているトルコ絨毯のあれこれに目を見張った。  商人が自慢した絨毯はノアの方舟の絵柄を織っていた。アララト山に方舟が乗り上げた図柄で、そこに生き物たちと人間が描かれている。この物語は、神が人間に生き物の管理を委ねたという物語である。フォーコウスキーは、方舟の物語には微生物のようなものがまったく勘定に入っていないことを、神話や宗教には「人間の等身大から見えるものたち」しか語られてこなかったことを、あらためて感じていた。  本書の原題は『生命のエンジン』(Life's Enginens)である。このタイトルのほうがずっといいが、邦題は『微生物が地球をつくった』になった。中身はたしかにそういう内容も少なくないのだが、地球をつくったというよりも、やはり生命のエンジン(ナノマシン)をつくった微生物の姿を見せることが本書の役割だ。  フォーコウスキーは微生物の視点から生命体にひそむ数々のナノマシンを取り出して、みごとな説明を加えた。 〜  いまではすべての生物が「真性細菌」(bacteria)、「古細...